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「遺留分」とは、被相続人が遺言状によってあるいは生前贈与や遺贈等によって、特定の者に過大な財産を与えた場合であっても、遺留分を有する相続人には一定の割合の財産分について請求をする権利が保障されるという制度です。
例えば遺言書で「財産の全ては愛人に譲る」と書いてあっても、遺留分を有する相続人については、最低限、遺留分を請求できるという制度になります。そもそもこの内容の遺言自体が公序良俗に反しますので無効となるおそれがありますが。
遺留分を有する者は配偶者、子および直系尊属になります。兄弟姉妹は相続人になりますが、遺留分については有していません。また遺留分は代襲相続されます。
相続欠格者や相続廃除者は相続人になれませんので遺留分権も有しませんが、その代襲者は相続人となれるとともに遺留分権も有することになります。なお相続放棄者については相続権も遺留分権も代襲されません。
遺留分を請求するには、まずその基礎となる相続財産の価額を確定しなければなりません。遺言書に財産目録が添付されていれば良いですが、そうでない場合はあらためて調査します。
その場合に注意する点は、プラスの財産のみならず、必ず債務などのマイナスの財産も調査することです。プラスの財産は遺言によって決められていたとしても、マイナスの財産はその割合に関係なく法定相続分で各相続人にのしかかります。
算定に当たっての財産は、次の式で計算します。遺留分算定の基礎財産=(被相続人が相続開始時に有していたプラスの財産)+(贈与や遺贈による財産)ー(債務の全額や葬儀費用など)
贈与や遺贈は具体的には、相続開始前1年間になされた生前贈与や遺贈、死因贈与などの特別受益があります。共同相続人への特別受益については、1年前のものであっても原則対象となります。また遺留分を侵害することを知っていてなされた贈与などです。これらの価額は贈与時のものではなく、相続開始時の価額で計算します。相続財産が不動産である場合には金銭に換算して計算します。
遺留分を現物で渡すか金銭で渡すかは、支払う側が決めます。また請求をする側には、特定の財産を指定して請求することは認められていません。
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「遺留分侵害額請求(2019年6月31日までは遺留分減殺請求といいました)権」とは、遺留分を有する相続人が得た相続財産が遺留分に達しない場合に、その足りない額まで遺贈や贈与の返還を請求できる権利のことをいいます。また遺留分を相続額が下回ることを、「遺留分の侵害」といいます。
遺留分を有する者は、法定相続人のうち兄弟姉妹を除く配偶者、子および直系尊属になりますが、これらの者が遺産を分けてもらえないからと言って、すべて遺留分侵害額請求権を有するわけではありません。
相続される者、すなわち相続人はあくまでも配偶者および最優先順位の法定相続人になります。子がいれば配偶者と子、子がいなければ配偶者と直系尊属といった者です。遺言などでこの相続人の相続分が遺留分を侵害された場合にはじめて「遺留分侵害額請求」の権利が発生するわけです。
法定相続人なのに相続されなかったので遺留分を請求する、といってもそもそも相続人にならなければ遺留分は関係ないことになります。また子や直系尊属がいない場合に兄弟姉妹が相続人になったとしても、兄弟姉妹には遺留分はありませんので、遺言で財産分けがなされなかった場合でも遺留分侵害額請求を行うことはできません。
遺留分侵害額請求権は、相続の開始を知ったとき、および遺留分対象の贈与や遺贈があったことを知った時から1年で時効となります。遺留分侵害額請求を行う場合は、1年以内に請求しなければなりません。また相続開始を知らなかった場合であっても、相続開始から10年の経過によって遺留分侵害額請求権自体が消滅します。
相続開始前に減殺請求することはできません。
遺留分侵害額請求は必ずしも裁判所への請求を行う必要はなく、相手方に対する意思表示だけですることができます。特に決まりもなく、口頭であったり通常の文書でも可能です。しかし時効の期限がありますので、トラブルを防止する点からも意思表示をした旨とその日付を残すべきであり、配達証明付き内容証明郵便を送付することが望まれます。
遺留分侵害額請求が当事者同士でまとまらなかった場合は、家庭裁判所への調停申し立てを行い、それでも成立しない場合は被相続人の住所地の地方裁判所か簡易裁判所(一定額以下の場合)への訴えを起こすこととなります。
遺留分侵害額請求はその意思表示がなされると、法律上当然にその財産の所有権が相続権利者に復帰します。その物が受遺者や遺贈者に引渡しが行われていても、所有権に基づいての返還請求を行うことができます。
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減殺の順序は民法に規定されています。遺言者が遺留分侵害額請求を予定して減殺の順序を指定することがありますが、その場合もこの順序に反することはできません。
遺留分権利者が配偶者や子を含む場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の割合になります。遺留分権利者が直系尊属のみの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分の割合になります。
相続開始前に相続を放棄することはできませんが、遺留分権利者が相続開始前に遺留分を放棄することはできます。事業承継であったり、トラブル発生の可能性のある相続人に放棄をしてもらう場合等で行われます。
遺留分放棄には被相続人住所地の家庭裁判所の許可が必要になります。裁判所の許可がない放棄に効果は生じません。
遺留分放棄をした場合であっても、相続人になれることに変わりはありません。遺留分放棄をした者の代襲者にあっても、遺留分を請求することはできます。
遺留分を放棄した場合でもマイナス財産は法定相続分とおり承継されますし、放棄の対価として受けた贈与などがある場合はこれも特別受益としてもち戻しの対象となりますので、遺留分放棄の際には注意が必要になります。
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