内容証明とは
内容証明とは一般書留郵便物の内容文書について、作成した謄本によって日本郵便が証明する制度のことです。債権回収についての文書であれば、債権回収の意思を具体的に示し、それを日本郵便が「この内容で出してありますよ」と裏付けを行ってくれる制度です。
次のような内容が証明されます。
- いつ出されたか。
- 誰から誰宛に差し出されたか。
- どのような内容の文書が出されたか。
その文書がいつ、どのような内容で、誰から誰宛に出されたかが証明されることとなり、証拠書類として非常に有用なものとなります。
内容証明自体は、どのような内容が書かれているかを証明するものであって、その内容が事実であるかどうか、あるいは正しいのかどうかを証明するものではありません。
内容証明の効果
内容証明の効果としては次のようなものがあります。
- 内容証明自体に法的な効果はありませんが、記載内容が事実として残りますので、訴訟になった場合などは有力な証拠となります。
- 整った形式の文書であるため、相手方に対する心理的な作用も強く働き、圧力を与えるとともに催促の効果ももたらします。内容自体ももちろんそうですが、発送されたという事実自体で相手方に心理的負担を与える効果があります。
- 時効中断の催告の効果があります。この場合は中断の効果は得られないため、あらためて6ヶ月以内に裁判上の請求をする必要があります。
- 確定日付を得られるため、第三者に対抗することが可能となります。
- 発信者の強い意志や真剣さが伝わります。
- 郵便局での保管期間は5年間です。紛失してしまった場合には、差出人本人のみが再度証明を行えます。
内容証明の活用方法
- 訴訟等を提起する前に相手方にその事実を伝える手段となり、無用なトラブルの防止策になります。
- 証拠としての事実をあらためて伝えることや、相手方の心理的負担によって、訴訟に至ることを未然に防ぐ効果もあります。
内容証明の有効な内容
内容証明を活用した方がよい事案には次のようなものがあります。
- 売掛金等の支払請求や催促するとき。
- 各種損害賠償請求を行うとき。
- 警告や差し止めを行うとき。
- 消滅時効の援用を行うとき。
- 債権譲渡を要求するとき。
- 契約解除を通告するとき。
- 迷惑行為の撤去を要求するとき等。
内容証明が到達した場合
次の場合は相手方に内容証明が到達したとされ、内容証明の効果が得られます。
- 通常は郵便局の配達員が、直接相手に手渡して受領印をもらいます。
- 本人限定郵便でない場合は、相手方の家族や社員等であっても受領印を押すと到達の効果が得られます。
- 相手方が受け取りを拒否した場合には、受け取らなくても到達の効果が得られます。文書が届いたものとして扱われますが、文書自体は差出人に返還されます。
内容証明が不達の場合
次の場合は相手方に内容証明が到達しなかったものとされ、内容証明の効果は得られません。
- 相手方が毎回不在の場合は配達員がポストに不在通知を残しますが、保管期間を過ぎると差出人に返却がなされ不達となります。
- 差出した住所に相手方がいない場合には、宛先人不明で文書は差出人に返還されます。この場合は不達となります。
- 宛先人不明の場合は不達となりますが、「公示送達」を行うことによって到達したとみなされます。
公示送達
公示送達は次の手順で行ないます。
- 相手が最後にいたと思われる住所地を管轄する簡易裁判所に、送付した文書を提出し申請を行ないます。
- 裁判所の判断により、裁判所の掲示板や官報などに文書を掲示します。
- 文書の掲示後2週間を経たら、相手方に意思表示が到達したものとみなされます。
内容証明を書く際の注意点
内容証明を書く際の注意点としては以下のものがあります。ルールを満たさないと受理されません。
- 内容証明は用紙の大きさや用紙の形状も問いませんし、コピーにより作成してもかまいません。
- 内容証明は証明文書1通のみを内容とするものであり、内容文書以外の図面や資料、返信用封筒等を同封することはできません 。別に資料等を送付したい場合は、その旨を内容証明に追記し、別郵便で送付しましょう。
- 内容証明は「かな、漢字、数字、英字の固有名詞、括弧、句読点、一般的な記号」のみを使用して書かれていることが必要です。
- 内容証明は一般書留郵便物で送らなければなりません。
- 内容証明が複数枚に渡る場合はすべてのページを綴じ、ページのつぎめすべてに契印を押さなければなりません。契印は差出人の印を用います 。実印でなくてもかまいません。ここでの注意点は、ホッチキスなどで綴じた場合は、綴目に近い位置で折って、そこに契印を押印します。
- 内容証明の文字または記号を訂正や挿入または削除するときは、その字数および箇所を欄外または末尾の余白に記載し、差出人の印を押印します。訂正等した文字も明らかに読めるような形で残します。
- 内容証明には郵便物の差出人および受取人の住所氏名をその末尾余白に付記します。内容文書と同一人の場合は省略することができます。
- 内容証明に間違いがあった場合でも、撤回することはできません。
契印と割印について
契印や割印は、契約書やその契約内容が正しいことを証明し、内容が改ざんされてしまうことを防ぐための印です。しかし契印と割印は同じものではなく使われ方に違いがありますので確認ください。
- 契印とは書類が複数枚にわたる場合に、その書類のつながりが正しいことを証明するために押される印のことです。書類のつなぎ目や綴じ目に押印されます。契約書本来の内容に、後から無断で書類を追加したり削除したりという不正を防ぐ役割を担っています。
- 割印とは契約書の原本と写しあるいは正本と副本などように、複数の独立した文書を関連付けるために押す印のことです。各文書にまたがるように押印されます。複数の書類が同一のものであることを証明し、契約書類の一方的な改ざん等を防ぐ役割を担っています。
- 割印も契印も、押印する場所は特に決まっていません。
- 割印も契印も、関係する当事者全員が場所をずらして押印します。
- 割印も契印も、押印する印鑑は実印でなくても問題はありません。
- 割印も契印も、それが押印されていなかった場合でも、契約書等の効力は無効になりません。あくまで改ざん等を防ぐ手立てが取られていないものということになります。
契印
割印
内容証明と併せて効果のある郵便方法
内容証明はそれ自体が事実として有効性のあるものですが、あわせて使用することでより有効性の増す郵便方法があります。
配達証明は付けるようにしましょう
- 内容証明郵便を、いつ出しいつ届いたかという事実が証明されます。
- 配達後に自宅宛に配達証明書が送られます。発送後でも1年以内であれば発行してもらえます。
- 書留郵便のみに付けられます。
配達日指定郵便
- 配達する日を指定することができます。相手方の不在がわかっている場合には効果的です。休日でも指定できます。
- 時間の指定はできません。
本人限定受取郵便
- 相手方1名を指定してすることができます。
- 相手方は身分証明書を提示して受け取りをします。
差出人や受取人が複数の場合
差出人や受取人が複数の場合は、次のように送付することもできます。
- 差出人が複数の場合は連名ですることができ、1回の内容証明郵便ですることができます。この場合の契印や訂正印等は差出人全員の訂正印を押します。
- 受取人が複数であって内容も同じ場合には、受取人を連記し1回の内容証明郵便ですることができます。
- 受取人が複数であって内容も同じ場合であっても、受取人を連記せずに各自に送ることもできます。この場合は、文面や日付は同じものにしなければなりません。
内容証明の字数制限
内容証明には字数や行数の制限 があります。
- 縦書きの場合は、1行20字以内で1枚26行以内であること。
- 横書きの場合は、1行20字以内で1枚26行以内、または1行13字以内で1枚40行以内、あるいは1行26字以内で1枚20行以内であること。
- 記号は1個1字となります。括弧はセットでとして1字となり、前の括弧の属する行の字数にカウントされます。
- 文字や数字を円、三角形、四角形等の簡単な枠で囲んだものは、各文字や枠の合計で計算します。例えば②の場合は2文字、⑩の場合は3文字として計算します。
- 文字や記号に傍点や下線等を施してある場合は、傍点や下線等はカウントしません。
内容証明の差出方法
差し出すことのできる郵便局は、集配郵便局及び支社が指定した郵便局です。ポストに投函するものではありません。
郵便窓口で次のものを提出します。
- 内容証明の対象となる文書
- 対象文書の謄本2通(差出人と郵便局が各1通ずつ保存します)
- 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
- 印鑑
内容証明による加算料金
通常の郵便料金に次の料金が加算されます。
- 1枚 430円
- 2枚 690円
- 3枚 950円
- 4枚 1210円
- 5枚 1470円
その他の郵便料金
普通郵便以外の料金は次のとおりです。
- 一般書留の加算料金は、損害要償額が10万円までのものについては430円。
- 一般書留の加算料金は、損害要償額が10万円を超えるものについては10万円を超える5万円までごとに21円増 。
- 重量250gまでの速達の加算料金は280円。
- 差出し時の配達証明の加算料金はは310円。
- 差出し後の配達証明の加算料金はは430円。