当事務所の基本業務~相続完了まで一切を行います
- 戸籍を含む書類取得、書類作成(相続人確定・相続財産確定)
- 相続人様全員とのやりとり
- 金融機関払戻し、各相続人様への相続金分配、計算書送付
- 相続登記(提携司法書士)、税務申告(提携税理士)
相続財産を確定します
次の段取りで相続財産を確定します。
- 「固定資産納税通知書」から不動産財産を確認し、法務局で不動産登記を確認します。土地と家の「全部事項証明書」を取得し、公図の写も取得します。
- 「固定資産納税通知書」から財産評価額を確認するか、市町村役場で「不動産評価証明書」を取得し評価額を確認します。「不動産評価証明書」には納税対象とならない所有地(河川敷等)等も記載されていますので、念のため取得されるとよろしいです。土地の評価額には地域によって倍率設定がされている場合がありますので(特に市街地)、ご確認下さい。
- 故人の通帳から預貯金額を確認します。また心当たりのある金融機関に、金融資産の確認をとります。
- 有価証券や賃貸契約など、その他財産を確認します。
- 被相続人死亡日の残高証明書取得し、プラスの財産の額をおおよそ確定します(まだ投信等配当の振り込みがなされている場合があります)。
- 負債関係をすべて確認します。債務が多い場合は相続放棄も考慮に入れることとなりますので、財産すべての確認は必ず行ないます。銀行関係は全国銀行協会に、クレジット関係は指定信用情報機関等に問い合わせを行います。
- プラスの財産およびマイナスの財産すべてを網羅した、「財産目録」を作成します。
遺言執行者には、財産目録を交付する義務があります。
相続財産の主な評価方法
- 土地(宅地)
- 路線価方式=路線価×補正率×面積
- 倍率方式=固定資産評価額×倍率
*路線価は基本的に市街地にある宅地に設定されており、その宅地が面している道路に付けられた「路線価」に土地の面積を掛けます。補正率は土地の形状が特異な場合に用います。
*倍率方式とは、市街地から離れた地域の宅地に用いられ、固定資産評価額に倍率を掛けて求めます。倍率は地域ごとに定められています(1.1等)ので、国税庁のサイト等で確認下さい。
*農地や山林なども、通常は倍率方式で評価します。駐車場などの雑種地の場合は、近隣の土地の価額を参考に算出します。
- 土地(借地権)
- 自用地の評価額×借地権割合
- 土地(賃貸地)
- 自用地の評価額×(1-借地権割合)
- 土地(貸家の敷地)
- 自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
- 建物(自宅)
- 固定資産評価額
- 建物(貸家)
- 固定資産評価額×70%
- 手元現金
- 被相続人死亡日の手元現金残高
- 普通預金
- 被相続人死亡日の預金残高
- 定期預金
- 被相続人死亡日の預金残高+利息
- 株式(上場株式)
- 被相続人死亡日の終値等
- 株式(非上場株式)
- 議決権割合などで確認。原則的評価方法(同族会社)か特例的評価方法(配当還元方式)で評価します。
- 投資信託
- 被相続人死亡日の基準額
- 死亡保険金
- 受取金額(非課税枠あり)
- 死亡退職金
- 受取金額(非課税枠あり)
- 個人年金
- 自動車
- 被相続人死亡日の時価
- 骨董品・美術品等
- 被相続人死亡日の時価
特別受益のもち戻しについて
「特別受益」とは、相続人が被相続人から生前受けた贈与、あるいは遺贈をいいます。共同相続人の中で被相続人から「特別受益」を受けている者がいる場合は、相続開始時の財産にその財産を加えたものが全体の相続財産となります。この加えることを「特別受益のもち戻し」といいます。
もち戻しの対象には次のものがあります。
- 子に住宅購入のための資金が贈与された場合。
- 子に不動産等の財産が贈与された場合。この場合に当該不動産が売却されていても、特別受益の算定はその不動産の相続開始時の価格で算定します。
- 子が事業を行うための資金が贈与された場合。
- 生計のためにまとまった額が贈与された場合。
結婚や養子縁組の際に贈与された場合等。扶養義務のある血族の者等が通常する生活費や医療費、教育費などの支出については、扶養義務に基づくものであるので特別受益とはなりません。
特別受益を受けた者の相続分
- 特別受益を加えた相続分を、相続人全員で遺産分割協議を行って分割します。
- 特別受益を受けた者については、自分の相続分から特別受益分を差引いた残りが相続分となります。
- 自分の相続分より特別受益の方が大きい場合は、その者の新たな相続分は発生しません。しかし、超過分は返還しなくてもよいとされています。
- 被相続人のもち戻し免除の意思表示があれば、遺留分侵害は別とし、もち戻しをする必要はありません。免除の意思表示は遺言による場合が多いですが、口頭の意思表示のみでも構いません。自宅などを生前贈与されていたからといって、必ずしも安心ではないと言うことです。できる限り公正証書遺言で持戻し免除の意思表示をしてもらいましょう。配偶者への自宅の生前贈与は、民法改正の項を確認下さい。
- 特別受益にあたる遺贈や贈与分が遺留分を侵害している場合には、遺留分侵害額請求(旧 遺留分減殺請求)の余地は残ります。
特別受益のもち戻し分を加えて遺産分割を行ないます。
配偶者保護のための持戻し免除の意思表示推定規定の新設
生前贈与の持ち戻し免除
婚姻期間が20年以上であれば、配偶者に居住用の不動産を生前贈与または遺贈した場合でも、原則として計算上、「特別受益」(遺産の先渡し)を受けたものとして取り扱わなくてもよいことになります。
現行制度では被相続人が配偶者のためを思って自宅を生前贈与していた場合でも、「持戻し制度」というものによってその自宅は「特別受益」とされ、遺言による「持戻し免除」の表示がない限り、相続財産に合算されてしまいます。
どういうことかと言うと、先ほどの総額4000万円の例で見ますと、現行法では生前贈与された2000万円の自宅も相続総額に含まれることとなります。配偶者の相続分はこの自宅のみとなってしまい、残りの預貯金2000万円はすべて子に相続されることになります。
これでは生前贈与した意図が相続に反映されないこととなってしまいます。今回の見直しでは、20年以上法律上の婚姻期間がある者については、その貢献に報い、老後の生活を保障すべきものとして、「持戻し免除」の表示がなくても表示があったと推定して(被相続人の意思の推定規定)、遺産の先渡しとして扱わずに相続財産総額に含めないことになります。
先の例で言いますと、遺産総額は自宅を含まない預貯金2000万円となり、配偶者と子がそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。
生前贈与のデメリット
- 夫から妻へ住居の生前贈与を行なった場合、不動産の登録免許税が5倍掛かります。通常の相続の場合は不動産の価額×1000分の4ですが、生前贈与の場合は不動産の価額×1000分の20になります。例えば住居(土地+建物)の評価額が2000万円だった場合は、相続なら登録免許税は8万円ですが、生前贈与の場合は40万円となります。
- 相続の場合は不動産取得税は無税ですが、生前贈与の場合は不動産取得税が掛かってきます。
- 生前贈与した不動産も、遺留分侵害額請求の対象となります(贈与から10年で時効)。
相続財産とならないもの
次のものに関しては相続財産とはなりません。
- 生活保護受給権や組合員の地位といった、被相続人の一身専属的な権利は相続財産とはなりません。
- 仏壇や遺骨、位牌といった、祭祀財産は相続財産とはなりません。
- 香典は相続人の固有の財産とみなされ、相続財産とはなりません。
- 死亡退職金、生命保険金請求権などといった被相続人の死によって生じる権利で、被相続人に属さない権利(受取人が被相続人本人でない別の者の場合)は相続財産とはなりません。ですのでたとえ相続放棄をした場合でも、保険金は宛名人個人の財産になります。
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